ルセーフ元伯大統領を陥れた元下院議長に長期刑

 ブラジル法廷は、ヂウマ・ルセーフ元大統領を弾劾裁判にかける議会手続きを2015年末に始めた当時の国会下院議長エドゥアルド・クーニャ被告に重刑を言い渡した。ルセーフは翌16年8月、弾劾され政権を追われた。

 法廷は9月9日、クーニャが伯国営石油会社ペトロブラスに海底油田探査船2隻建造を認可する際、同社に賄賂を要求し500万ドルを受け取った収賄罪で禁錮15年11カ月を言い渡した。法廷はコロナ禍に鑑み、クーニャを自宅軟禁に処した。

 法廷は翌10日、クーニャがペトロブラスの外国油田買収に際し、数百万ドルを収賄した罪で別途、15年余の禁固刑を言い渡した。クーニャは、ペトロブラス関連の贈収賄事件で金額が最も多い収賄犯の一人。その油田はアフリカのべニーンにある。

 ルセーフは、腐敗したクーニャを毛嫌いしていたが、クーニャは逆恨みし、ブラジル政界ではごく些細な理由でルセーフの弾劾手続きを進めた。ルーラ、ルセーフと2代13年に及んでいた労働者党(PT)政権をつぶしたい財界、大土地所有者ら保守・右翼陣営は米国の後押しを得て、ルセーフを弾劾に追い込んだ。

 選挙ではPTに勝てない同陣営は、ルセーフ弾劾の延長線上で、早くから「当確」と見られていたルーラを18年の大統領選挙に出馬できないよう画策した。その結果、悪名高い極右元軍人ジャイール・ボウソナロ現大統領が勝って政権を握った。

 ルーラは依然、幾つかの腐敗事件との関連で被告の立場にあるが、徐々に22年の次期大統領選挙の最有力候補にのし上がりつつある。

▼伯最高裁長官が「腐敗に厳しく」と表明

 伯最高裁長官に9月10日就任したルイス・フシュ判事は、法廷批判や民主非難を許さず、腐敗を厳しく取り締まる、と述べた。


 

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