ブラジル司法が検察にFBIとの協力関係の捜査求める

  ブラジル高裁のセルジオ・クキナ判事は9月1日、ルイス=イナシオ・ルーラ=ダ・シルヴァ被告(元大統領)の起訴の基になった伯最大の建設会社オデブレシ―(オデブレヒト)の暗号化されていた機密文書類に検察当局が米FBI(連邦捜査局)の協力で接近できたことに関し、伯検察庁とFBIが協力関係を結んだ経緯を捜査するよう求めた。

 ルーラ弁護団の要請を受けての判断だが、クキナ判事は、これまで弁護団が触れることのできなかったオデブレシ―機密文書を読むことを認めた。

 同判事は、FBIは所定の手続きを経ずに機密文書を入手し伯検察に渡したとの弁護側意見を受け入れた。クリスチアーノ・マルチンス弁護団長は、クキナ判事の判断を高く評価している。 

 「ラヴァ・ジャト」(オデブレシ―絡みの一大贈収賄事件)でのルーラ断罪は、2018年の大統領選挙で当選が確実視されていたルーラの出馬を阻むのが主目的だった。少数派の保守・右翼陣営は2015年末にヂウマ・ルセーフ大統領(当時)の些細な出来事による弾劾の策謀を開始、ルセーフはリオデジャネイロ五輪直後の16年8月末に解任された。

 この「国会クーデター」に次ぐ陰謀の第2段階がルーラ出馬阻止だった。ルーラもルセーフも労働者党(PT)の社民主義路線で、貧困大衆の救済に務めた。これを嫌う新自由主義路線の財界をはじめとする保守・右翼勢力は米政府と連携、FBIからオデブレシ―機密文書の提供を受けた。米国はラ米政策の邪魔になるルーラを嫌っていた。

 ルーラが出馬できなかったため、極右で反知性派の元軍人ジャイール・ボウソナロが当選し、19年元日就任。内外が驚くほどの悪政を敷いてきた。

 ルーラの裁判は終わっていないが、ボウソナロの暴政もあって、ルーラの立場は徐々に良くなっている。

  一方、伯連邦地裁は9月1日、ルーラが大統領だったころ影響力を行使してオデブレシ―社にアンゴラでの土木事業落札に便宜を図ったとする腐敗罪容疑による2016年の起訴を「証拠不十分」により却下した。


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