パラグアイ特殊部隊が亜国籍少女2人を殺害
パラグアイの軍と警察で構成する対ゲリラ戦特殊部隊「合同作戦部隊」(FTC)が、同国北部コンセプシオン県内森林地帯のゲリラキャンプで、アルゼンチン国籍を持つ11歳と12歳の少女2人を殺害、国際問題になっている。
FTCは9月2日、キャンプを急襲。ゲリラ「パラグアイ人民軍」(EPP)の「要員2人を殺害し」、武器、弾薬、米ドル、カール・マルクスの『資本論』、チェ・ゲバラの著作などを押収したと発表、「作戦は大成功だった」と自賛した。少女2人の遺体は、キャンプ近くの穴に埋めた。
ところが間もなく、2人が未成年の少女で亜国籍と判明。首都アスンシオンの刑務所に収監されている2人の叔母(もしくは伯母)でEPP幹部のカルメン・ビジャルバが亜国弁護士会の問い合わせに対し、「2人は姪で、誕生日祝いを兼ねて、父親に会うためキャンプに来ていた」と明かした。
2人は、パラグアイ南部を流れるパラナー川の対岸、亜国ミシオネス州プエルト・リコに住んでいたリリアン=マリア―ナ(12)とマリーアデルカルメン(11)だった。
同地に住むリリアンの母ミリアムによれば、2人の少女は昨年11月、(EPP要員である)父親たちに会うためパラグアイ入りしたが、コロナ禍で国境が閉鎖され、帰国できずにいた。
フェルナンデス亜政権はパラグアイのアブド=ベニーテス政権に抗議、早急に事件を調査して解明、裏付けの証拠を提示するよう求めた。
パラグアイ当局は遺体を掘り出し、解剖した。少女たちは背後から多くの銃弾を浴びせられ、前方からも撃たれていたことが判明。さらに衣服は焼かれて失われていた。至近距離から銃撃した「処刑」だったことを隠ぺいする狙いからと見られている。
国連人権高等弁務官事務所南米支部(智サンティアゴ)と、米州諸国機構(OEA)米州人権裁判所(CIDH)も事態を重視、パラグアイ政府に事件の公正な解明を求めている。
FTCは「少女はゲリラで、先に撃ってきた」と<偽情報>を流していた。キャンプ急襲の成果が武器などの押収だけだったため、キャンプにいた少女2人を殺害、証拠隠しのため地中に埋めたとの見方が出ている。
EPPは1990年代半ばから活動。勢力は50人以下と見られている。軍・警察襲撃、大土地所有者襲撃、身代金誘拐などを戦術としてきた。21世紀20年代の今、ラ米の農村ゲリアの活動はEPPのほかは、メキシコとコロンビアで伝えられる。
▼元副大統領を拉致
パラグアイ警察は9月10日、EPPがオスカル・デニス元副大統領を9日拉致したもようと発表した。デニスは1990年代にコンセプシオン県知事を務め、2012~13年にフェデリコ・フランコ暫定政権で副大統領を務めた。
9日、コンセプシオン県内にある私有農場で拉致されたと見られている。同県はEPPの活動拠点。
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