ベネズエラが米政府と米軍に警告

 ベネズエラ(VEN)のブラディーミル・パドゥリーノ=ロペス国防相は7月17日、同国領海線に沿って展開中の米南方軍(司令部マイアミ)のミサイル搭載駆逐艦1隻に対し、「もし領海内に入ったらFANB(VENボリバリアーナ国軍)は断固対応する」と警告した。

 トランプ米政権は11月の米大統領選挙に向けて支持率回復を図るための起死回生策の一環として、既に内外世論に「悪玉」として宣伝し、そうした評価を定着させてきたニコラース・マドゥーロVEN大統領に揺さぶりをかけており、今回新たにカリブ海に駆逐艦を派遣した。

 トランプは7月10日、南方軍司令部で演説、「米国はベネズエラとキューバの(反政府派の)ために闘い続ける」と発言した。これを受けてクレイグ・フォーラ―南方軍司令官は駆逐艦を派遣。7月16日には、12海里のVEN領海の境界まで4海里の海域を航行した。

 米国は今年5月、昨年初めから傀儡としてきた極右政治家フアン・グアイドーVEN国会議長の率いる反マドゥーロ勢力やドゥケ・コロンビア政権と謀って、傭兵部隊をVEN海岸に上陸させたが、上陸時に制圧され、数人が殺害され、米国人2人を含む約70人が逮捕された。

 逮捕者の自供により、この上陸作戦はマドゥーロ暗殺もしくは身柄の連行を目的としたものであることや、グアイドーの関与が明るみに出た。参加した傭兵らは米政府が懸けている巨額の賞金が目当てだった。
 
 しかしVEN政権は慎重だ。駆逐艦の領海接近は明白な挑発行為であり、VENが軍事的対応をとれば、米軍に介入の口実を与えることになるからだ。それはトランプ再選に寄与することになる。マドゥーロ体制が存亡の危機に陥る可能性も否定できない。

 マドゥーロ政権は今、キューバ、ロシアと緊密に協議しつつ、米艦の動きを監視している。

 ★VEN米関係については、「デモクラシータイムス べえネズエラ」を参照されたい。


 



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