「ボリビア政変はリチウムが目的」 イーロン・マスク氏明言

 2019年11月ボリビアで、エボ・モラレス大統領の先住民族主義政権を倒す財界右翼と軍・警察のクーデターが起きたが、7月25日、南アフリカ出身の米実業家イーロン・マスク氏は「クーデターはボリビアのリチウム確保が目的だった」と述べた。

 マスクはドナルド・トランプ米大統領に近く、米政府とボリビア政変との関係を熟知する立場にある。ブエノスアイレスで亡命生活を送るモラレスは、「リチウム奪取が原因であるという証言がまた新たに加わった」と述べた。

★今年6月には、米共和党所属のリチャード・ブラック上院議員が、トランプ政権はリチウムをはじめとするボリビアの資源を狙ってクーデターを促進した、と暴露している。

 クーデター決行派は、19年10月の大統領選挙で再選されたモラレスが「不正を働いた」と主張し決起したが、その後、国際的な調査で不正はなかったことが証明されている。

 戦略的希少地下資源リチウムは、ボリビア南部のウユニ塩湖、アルゼンチンとチリの北部の塩湖群を結ぶ「三角地帯」に世界資源の85%が集中。ウユニ塩湖一帯には2100万トンの埋蔵量がある。

 資源の民族管理を進めていたモラレスは2018年10月、独ACISA社とリチウム開発の契約に調印。19年8月には、中国の新疆TBEA社とリチウム産業開発に向け合弁工場建設契約を結んだ。これは同年6月のモラレス・習近平会談で、モラレスが「一帯一路」構想に賛同し、契約が決まった。

 ボリビアでは当初4月3日に大統領選挙が実施されることになっていたが、コロナ禍を理由に、9月6日に延期された。ところが最近、同じ理由で10月18日に再延期された。だが、毎回の世論調査で、モラレスの政党「社会主義運動」(MAS)の候補の優勢が動かないのが真の理由と見られている。

 政変後一方的に「暫定大統領」の座に就いた極右女性ジャニーネ・アニェスは、クーデター派の利益代表で、MAS党員らを弾圧してきた。MASの選挙参加資格を剥奪する陰謀も渦巻いている。

 エクアドール(赤道国)政府は今月、ラファエル・コレア前大統領派を来年の大統領選挙から締め出した。この動きに最大の関心を抱いているのが、ボリビアのアニェスらクーデター決行勢力だ。

▼選挙延期に抗議しゼネスト

 ボリビア労連、MAS系労農運動組織は8月3日、大統領選挙の10月への再延期に抗議して、反政府・反選管のゼネストを決行した。

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