エクアドール進歩主義勢力が排除される危機に

 エクアドール(赤道国、略号「赤」)の次期大統領・国会議員選挙は2021年2月7日実施される。国家選挙理事会(CNE)は現在、その準備を進めているが、ラファエル・コレア前大統領が率いる政治運動「社会公約勢力」(FCS)主導の政治運動連合体「希望のための連合」(UNES)が選挙参加資格。だを剥奪される可能性が出ている。

 コレアが7月14日明らかにしたところでは、内相と会計検査院長に指示されたCNEは、FCS/UNESを排除する方針を固めたもよう。

 前回大統領選挙では、コレアの下で副大統領を務めたレニーン・モレーノが当選、政権に就いたが、モレーノ現大統領はコレアと袂を分かち、米国寄りになって新自由主義に基づく経済再建政策を進めてきた。その過程で、コレア派と厳しく対立、同派は圧迫されてきた。

 FCS主導のUNES(ウネス)には、次のような政治運動・組織が参加している。赤女性常設国民会議(FNPME)、赤人民・農業先住民組織連盟(FEI)、農民生産勢力(FRP)、祖国のための国民連立(CNP)、民主センター(CD)、国民愛国戦線(FPN)、スールヘンテ(SULGENTE)。

▼コレアの政党の選挙参加禁止さる

 赤道国高裁は7月20日、ラファエル・コレア前大統領に贈収賄罪有罪で禁錮8年を言い渡した今年3月の第1審判決を是認した。元副大統領らかつての部下ら20人の判決も1審通りだった。最高裁への上告は10日以内。

 この日、赤中央選管(CNE)は、コレアの政党「社会公約勢力」(FCS)の政党登録を無効化し、来年2月の大統領選挙など国政選挙への同党参加を不可とした。

 併せて「ポデモス」(我々はできる、MNP)、「自由とは人民である」(LEP)、社会正義運動(MJS)の3政治組織に対しても同様の措置をとった。

▼選挙紛争裁判所が中央選管決定を無効化

 赤選挙紛争裁は8月3日、来援の選挙へのFCSなどの参加を禁止した選管(CNE)の決定を覆した。これによりFCSなどは選挙参加が可能になった。

▼コレアが副大統領候補に

 ラファエル・コレア前大統領は8月18日、アンドレス・アラウス大統領候補と組む副大統領の候補になると表明した。両候補とも、FCSなど諸党から成る「民主中央」(CD)から立候補する。

▼コレア出馬却下さる
 
 赤選管は9月1日、ラファエル・コレア前大統領の副大統領候補としての出馬を不許可とした。政敵であるレニーン・モレーノ現大統領の意向が働いたのは疑いない。

▼コレアに公職追放処分

 赤法廷は9月7日、ラファエル・コレア前大統領が2012~16年の政権期に750万ドルを収賄したとして禁錮8年の実刑判決を下した。コレアには公職追放25年も科せられた。
 
 コレアは夫人の故国ベルギーに住んでおり、帰国しない限り、服役することはない。だが実質的に政治生命を断たれた。







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